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- 試験前なのに電気回路のことがわからない。
- 大学で学ぶ電気回路の基礎を知りたい。
- 電気・電子系の学科に入ったけど具体的に何をするのかわからない。
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そんな悩みを持つ大学生や高校生の皆様に向けて、今回はRC直列回路という電気回路を扱う上で最も基礎的な回路例に複素数を用いて定常解を求めるという一連の流れを丁寧に解説します!
このページでは、
・複素数を用いた電気回路の解析方法
・交流電圧源があるときのRC直列回路の解き方
がわかります。また、『RC直列回路からわかる微分方程式の解き方2』の続きになっています。RC直列回路に直流の電圧源がある場合の解き方がわからない方はこちらをご覧ください。RC直列回路からわかる微分方程式の解き方2(電圧源が交流のとき)
定数変化法を用いて微分方程式を解くの、面倒くさかったですよね。実はこれ、複素数を用いることでもっと簡単に、何なら微分方程式なんて解かなくても解析できてしまうんですよね!今回はどうやってそんなに簡単に解くことができるのか解説します!
オイラーの等式
まず、前提知識として、オイラーの等式というものを解説します。これは三角関数と指数関数を関連付ける数学や物理において大変重要な等式です。そんな等式がこちらです。
$$
\mathrm{e}^{jwt} = \cos(wt) + j\sin(wt)
$$
ここでjは虚数単位とします。なぜiではなくてjなのか。それは電気回路においては電流をiと表すため虚数単位と混同してしまうからです。そのため電気分野では慣習的に虚数単位をjを用いて表します。
この等式は両辺をテイラー展開することで確かめることができます。各自やってみてください!
RC回路の微分方程式を複素数を用いて表す
続いて、RC回路の微分方程式
$$
RC\,\frac{dV_C(t)}{dt} + V_C(t) = V \cos(wt)
$$
を複素数を用いて表したいと思います。そのためにまず複素電圧について紹介します。複素電圧とは、通常Vcoswtと電圧を表すところを$$ V \mathrm{e}^{jwt} = V( \cos(wt) + j \sin(wt) )$$ と複素数に拡大して電圧を表すということです。つまり、
$$
Re[V \mathrm{e}^{jwt}] = V \cos(wt)
$$
という関係が得られます。複素電圧の実部が本来の電圧ということです。このように表すことで微積分が非常に簡単になります。やってみましょう。
$$
\frac{d}{dt} V \mathrm{e}^{jwt} = jw V \mathrm{e}^{jwt}
$$
つまり、微分するということは複素電圧にjwを掛けることと等価になります。積分はその反対で複素電圧をjwで割ることと等価になります。
また、ここでVcを複素電圧にした時、
$$
\tilde{V}_C \mathrm{e}^{jwt}
$$
と表すとします。すると、RC直列回路の微分方程式は
$$
RC jw \tilde{V}_C \mathrm{e}^{jwt} + \tilde{V}_C \mathrm{e}^{jwt} = V \mathrm{e}^{jwt}
$$
と表すことができます。RC直列回路の微分方程式を微分方程式を用いずに表すことができました!
微分方程式を解く
では解いていきます。といってもとても簡単な等式なのですぐに
$$
\tilde{V}_C = \frac{1}{1 + jwRC} V
$$
だとわかります。
$$
\tilde{V}_C \mathrm{e} ^ {jwt} = \frac{1}{1+jwRC} V \mathrm{e} ^ {jwt}
$$
これを答えにしてもよいのですが、これの実部を取って実際の電圧を求めていきましょう。
$$
V_C \cos(wt) = Re[\frac{1-jwRC}{\sqrt{1+(wRC)^{2}}} V (\cos(wt) + j\sin(wt)) ] \\
V_C\cos(wt) = \frac{1}{\sqrt{1+(wRC)^{2}}} V \cos(wt) + \frac{wRC}{\sqrt{1+(wRC)^{2}}} V \sin(wt)
$$
前節では電圧源をVsinwtとしていたので、少し形は違いますが定常解と一致していることがわかります。このように複素数を用いることで定常解を簡単に求めることができます。同次解は求めることはできませんが、交流回路の解析において同次解はそんなに重要ではないため問題ないです。
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